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タフらいと誕生物語【第8章】(2)

出陣準備1(彩)

 赤色は、非常に大事な色である。お肉もマグロも、トマトもイチゴも赤色である。ちなみに、肌の血色も赤である。老人ホームをLEDにしたら、居住のご老人が皆、青白い顔になってしまったというような笑えない話もある。

 演色性の低い一般的なLEDを使うと、高級な牛肉も緑がかって、新鮮味がないような感じに見えてしまう。インスタグラムでこの色で、お店の名前と共にアップされたら、せっかくの高級牛肉も台無しになってしまう。

 演色性は、電球というものを照らす役割の商品にとってはとても重要な意味がある。

ただし、これを今、読んでいる人で、LEDは演色性が低く、赤色は特に綺麗に写らないという事実をご存知の方は、一体、何人いるだろうか?ご存知ないのは仕方がないことである。10年持つ、20年持つと喧伝する一方で、電解コンデンサーの事実と同じく、このようなことを誰もいっていないのだから。。。

 私は、この矛盾にもしっかりと修正していかなければならないと考えた。

しかし、課題はあった。この色作りは、私たちが得意とする電気ではなく、化学の世界である。この世界は、計算である程度シミュレーションができる電気の世界とは違って、勘と経験による調合の世界である。それを揶揄して、『鼻薬の世界』などという人もいる。鼻薬のように一滴たらせば、抜群な効果が生まれる時があるという意味である。

 つまり、多大な工数と時間がかかる。しかも、かけたら絶対に完成するというものではなく、計算がしにくい “感”の世界なのである。

この実現おためには、その“感”に強い職人が必須であり、そして、それを検証する為の膨大な人件費を安く抑える必要があった。そこで、この開発は、中国に依頼する事とした。それは、最初にサンプルを作成して以来、太い人間的な関係を維持している中国の設計会社である。

 彼は、私の期待に対し全精力を傾け、開発を行ってくれた。そして、私の期待を大幅に上回る成果をもたらしてくれた。日本の大手メーカーでも追随することができないほどの見事な演色性の電球が登場したのである。この演色性能は、未だにどのメーカーも到達することができてない。

 ほぼ完璧とも言える完成度なのである。

 この結果、私たちは、半永久に光る電球に加えて、世界一美しく色を表現する太陽の光並みのLEDを手にすることができたのである。私たちは、この商品を、彩(いろでり)と名付けた。美しい彩と、美味しそうの意味のデリシャスを合わせたのである。