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タフらいと誕生物語【第9章】(2)

出陣準備2(火の色)

 これは、考えてみれば当然かもしれない。人間は、はるか太古の昔、原始時代から火によって守られてきたからだ。鋭い爪も牙もなければ、チーターのように早く走ることもできない人類は、火の力によって外敵やウイルスなどから守られてきた。専門的なことはわからないが、火の色を見て安心するのは、遺伝子的に組み込まれていると思っても不思議ではない。

 しかしながら、LEDで火の色を実現するという開発は、簡単な事ではなかった。なぜなら、LED電球は青色LEDを使用している。先ほどの演色性の開発でも触れたが、青色から反対のオレンジ色を作り出すのは難しいのである。また、単にオレンジ色を作れば良いというものではない。自然の炎の色の色味を合わせるのに、何度も繰り返し試作を行なった。開発パートナーは、彩と同じ中国の設計会社であった。納得いくまで、何度も訪問し確認した。彼は、無茶とも言える私の要求に対し、根気よく最後まで付き合ってくれ、そして見事に私の要求に答えてくれた。

 しかし、開発はここで終わりではなかった。LEDの光は、直進性が強いために光が前にしか光らずどうしてもレーザーのような機械的な光となってしまう。炎のように全体に広がるような優しい光にならないのである。そこで、光を全方向に光らせるような対策を講じる必要があった。

 今までの私たちの電球は、すべて白いガラスの内側をすりガラスのようにして、光を拡散させることで、乱反射を起こし光の拡散をさせていた。しかし、今回の火の色は、白いカバーを覆ってしまうとせっかく完成した火の色の温かい色味が消えてしまうのである。火の色の電球を作るには、クリアガラスである必要があった。しかし、それは非常に困難な挑戦でもあった。